Sunday, 6 April 2014

春の昼下がりに

会社に辞表を提出すると考えただけで気が重いが、今まで色々考えた結果だから仕方がない。

企業の会計や税務の事を考えるのは非常に勉強になるが、こうした税理士事務所の仕事は基本的に無限のループのようなもので毎月同じ事を繰り返し、決算確定申告と一年に一回訪れる業務で時の流れを感じるようなものだ。非常に安定しているが、正直これが何を運んでくれるのか疑問が有るし、所長の度重なるセクハラ発言、言動に嫌気がさしているのが真実と言ったところだろうか。

桜の季節はもう過ぎ去ってしまったようである。今年は御花見するにはタイミングが悪く強風だったり突然の雷雨に苦しめられる事が多かった。まあお花見と称して友達を呼んで家でお花見もどきをしたが、まあそんなところだろう。

最近は本もまともに読んでいない気がする。それでも読み終えた本と言えば、Ryszard KapuscinskiのShah of Shahsと The Soccer War。これで長く続いたカプスシンスキータイムがだいたい終わった訳だけど、特にこのサッカーウォーは非常に面白かった。


これを読むと今まで色々呼んできた彼の作品の背景がよりリアルに伝わってくる気がした。この本で初めてより詳細な彼のラテンアメリカでの生活、ジャーナリストとしての仕事を知る事が出来る。このタイトルもホンドゥラスとエルサルバドルの戦争でのルポタージュから来たものだが、ほとほと戦争というものはこういうはっきり言ってみれば下らないものから始まるのだと思う。もう色々と内容を思い出せないものも有るが、彼みたいに現地で様々な戦争やクーデターを目の当たりにすると、戦争というものは決して空間を越えて世界に伝わる事がないのだと実感するという。今誰かが前線でその命を失おうという瞬間に、結局誰かそのTVニュースの向こうの世界では何を食べるだとか、シャワーを浴びるだとか、如何に新聞やルポ等で世界の実情が伝えられても決して現実のものとして伝わる事がないという事は本当にだと思う。最近のニュースを見てもスーダンやシリア等の状況を知って理解したいと思っても結局その限界は既に目の前に広がっておりけして当事者意識というものはもてないのではないか、とある意味悲観的にならざるを得ない。カプスシンスキーは「当事者」としてその世界の現状をレポートしたからこそこのジャーナリズムの限界というものを強く感じていたのだと思う。だから彼がこの本の中で描きたかった事は、その事件の物理的な事実ではなくて、その「事実」を作り出した雰囲気、人間、より感覚的な事だったのだと感じる。Another day of Life も同様にそうであったが、彼が如何に出向く先で人間関係を構築したかがわかり、非常に興味深い。私個人的には彼はやはり文学的、詩的な感性をもとに非常なる日常に生きる人々への描写を、ある種本業のジャーナリズムとは別に持っていた興味関心であったと思う。

彼のルポタージュを読む中で感じる事は、彼がその手法をテーマごとによって変えているところが面白いということだ。Shah of Shahsは The Emperorとはまた異なる手法でイラン革命の緊張感あふれる民衆の生活を描いていたと思う。エンペラーの方は確かに、宮廷の人間達のインタビューという形式で全てが書かれていたので、ある種本当に独裁政権が如何に崩壊するかを内側から描いたものであったが、このシャーに関しては、イラン革命がそのシャーを取り巻く外的な力でどのように実行されたかが書かれており、その点が大きな違いであると感じる。

どちらも崩壊する体制を描いているが、読後感としてはエンペラーに非常なる寂しさを感じた。結局イラン等のイスラム教国とは異なり、一度体制が崩壊すると外部の思想、経済力等で多くの国がその舵取りを失敗してきたのだと感じる(特にアフリカ)。皇帝亡き後に訪れるエチオピアの困難を考えると、皇帝時代が一体何を意味していたのかを考えさせられてしまう。ただ、イランも少数派のシーア派としてイスラム圏では迫害されたり多くの困難に直面する事が多かったようだから、一概に色々と言えない事もあるが、、、。

最近買った本は
これはアフリカにおける英国の影響力について主に言及されている本で、多くが各国から集められたレシピで構成されている。植民地支配の中で、イギリス人が本国から持ち込んだイギリスのスパイスや調理法等がアフリカの植民地諸国において多く活用され、また独自の食文化を生んだ事がよくわかる本である。ただ、多少レシピが多いので実際に読み物として読むには少し面白みを欠くかもしれない。

さて

新しい事を始めるのは、やはり春がいいのだと思う。会社を辞める決意をしたのも、自分でやってみたいと思う仕事が出てきたからであり、自分の欠点や長所をよく理解しながら出来る事をやっていきたいと感じている。

元々自然派系の食べ物や製品に興味を持っているが、最近は友達の影響で真剣にそうした世界に身を投じてみたいと思うようになった。この蜂蜜を取り巻く製品、またビジネスというのは単に食用としての蜂蜜に留まらずその副産物等多岐に渡るようだ。蜂蜜を使った化粧品やスキンケア用品は自分で使っているからわかるが、どこかその「自然」な側面を常に感じる事が出来る事が非常に喜ばしい。

友人に送られたこのペーパーは非常に勉強になる。


心地よい昼下がりである。